作業実績
2022.11.10
MRワゴン ブレーキ異音修理で入庫しました。
ここにエントリー本文を書きます。
前回、プリウスαの車検・整備のご依頼を承りましたお客様のご紹介で修理のご依頼を頂きましたお客様のお車が入庫しました。
今回、車検の整備メニューでもあるブレーキの分解整備の一例を掲載いたします。
当店で車検・整備のご依頼を頂きましたら、必ず実施している整備メニューとなります。
キャリパー脱着・清掃後に各摺動部の点検・グリスアップです。
キャリパーを固定している部品にスライドピンと呼ばれる部品があります。
この部品の清掃・グリスアップは車検時やブレーキパッド交換時やその他ブレーキ修理の際必ず実施しております。
この部品が錆やグリス切れで固着してしまうとブレーキパッドの変摩耗やブレーキの戻りが悪くなりブレーキパッドの引き摺りやブレーキローターの熱歪みやブレーキのフェード現象やブレーキのエア噛み等、様々なトラブルを引き起こします。
また、タイヤの回転も悪くなり、ATFやCVTFのオーバーヒートや変速不良、エンジンの回転負荷の増加による燃費の悪化やエンジンのオーバーヒート等、一見無関係そうに見えるトラブルにも発展します。
上の画像
左が外一杯にキャリパーが移動した状態、右が内側一杯に移動した状態です。
ブレーキペダルを踏んだ時、ブレーキキャリパー内のピストンが押し出されてキャリパーは内側に移動し外側のブレーキパッドをローターに押し付け
内外のブレーキパッドに均等の摩擦力を与えブレーキを解除した際はピストンが引っ込んでキャリパーは外側に戻る仕組みです。
このスライドピンが固着すると、ブレーキを踏んだ際、ピストンが押し出されて、キャリパーは内側に引っ張られたままブレーキを解除しても外側へ移動せず、外側のブレーキパッドはローターに押し付けられたままになり、ブレーキを引きずった状態になって摩擦熱が増大しパッドの変摩耗、ブレーキローターの熱変形や摩耗、フェード現象やブレーキオイルの沸騰によるベーパーロックが起こります。
ですので、このスライドピンはブレーキを整備する際は必ず点検・清掃グリスアップを実施しスムーズに動くようにしています。
そして、ブレーキを整備する際は必ず実施しておきたい作業にブレーキキャリパーのエア抜き作業があります。
ブレーキオイル交換でよく、ブレーキマスターシリンダーのタンク内のブレーキオイルだけを抜き替えるブレーキオイル交換をされているケースを良く見かけられるケースです。
ブレーキオイル交換とは各車輪についているブレーキのブリーダーからブレーキ配管内に溜まった空気を抜きブレーキオイルを入れ替えるのが正解です。ブレーキオイルは吸湿性が強く車やバイクが好きな方なら、ブレーキホースが結露しているのを見かけた事があるかと思います。ブレーキオイルや軽油や灯油は吸湿性が強く、タンク等で長期間放置するとタンクの底に水が溜まります。
キャリパー内に水が溜まりブレーキを踏んだ際、摩擦熱により水分が沸騰し蒸発するため配管内に気泡ができるベーパーロックの原因となります。
また、配管内に溜まった気泡が圧縮されたり膨張することでブレーキの踏力がブレーキパッドやブレーキシューに伝わらず制動力が大幅に落ち込みます。
また、キャリパーピストンやホイールシリンダーの戻りが悪くなりスライドピンの固着と同様の症状(主にブレーキパッドの内側)が見受けられます。
ですので、ブレーキのエア抜き作業も法定点検や車検、ブレーキパッドやシュー交換等の整備の時には必ず実施いたしております。